矯正歯科治療の問題点
矯正歯科治療はどこでも同じではありません。でも「何が違うのかよく分からない」そんな皆さんにぜひ読んで頂きたいと、このコーナーを作りました。
「家から近い」「治療費が安い」これらも矯正歯科選びの重要な要素ではありますが、矯正治療を一生ものとして考えれば、もっと大切なことがあります。
それは一言でいうと「矯正歯科治療上の問題点を明らかにして、その対処をどのように行っているか」なのです。
誤解のないようにはじめに言わせて頂きますと、矯正治療のメリットは非常に大きいと思っています。お口の中の健康や正しい機能を将来にわたり保つためには、歯並びや咬み合せが悪いと非常に難しいことです。
矯正治療は人工の歯を使わずに、お口の環境を改善する唯一の方法です。もし将来、歯の治療をすることになっても、良い歯列や咬み合せだと良いつめものやかぶせるものが作れるというメリットもあります。
最近は、美容的な効果もかなり注目されています。これらの変化が精神的な部分に与える影響も大きく、びっくりするくらい積極的な人になったと思うこともしばしばです。
これらの大きなメリットも、治療の進め方によってはだいなしになってしまうことがあります。そのほとんどは、矯正歯科治療上の問題点に対処していないからなのです。
アーク矯正歯科 院長 佐藤國彦
問題1. 「虫歯・歯茎の炎症」 矯正装置が歯に着いているということは汚れがつきやすく、むし歯や歯茎の病気になりやすい状況を作り出しているとも言えます。もし汚れたままにしてむし歯が多発するようであれば矯正歯科治療の意味がまったくなくなる上に、かえってマイナスになってしまう可能性もあるのです。
このようにならないためには矯正歯科治療中の長期的な対策を考えているかが大切です。たとえば歯磨きは初めだけ頑張れても、1〜2年後はどうしても中だるみが出てくるのが人間の弱さです。又、子供の場合などでであまりしっかりやってくれないときはどうするのか、など順調にいかない時こそ、いろいろな方法を使う必要が出てくると思います。
上記の問題でもいえるように、矯正装置がついている期間はできるだけ短い方がよいと考えられます。しかし、いろいろな原因で治療期間が延びやすいのが矯正歯科治療の難しさでもあります。もちろん歯を動かすには一定の期間は必要で、ここで問題にしているのは無駄に期間を延ばさないための対策です。
a. 予約の問題で治療が予定通りに進行しない。
長期間にわたる矯正治療では、患者さんの生活環境も変わることも考慮して、予約のとりやすい状況を確認することが大切です。また、急用等でどうしても都合が悪くなった場合、予約の変更がスムーズに行われること、もし行くのを忘れて無断キャンセルになった場合、医院から連絡が来るぐらいでないと心配です。もちろん可能な限り確実な予約をとって頂くことが一番ですが...。
b. 装置の破損や紛失などをそのままにしておくと、期間的なロスになることが多い。
口の中の装置は食事等でこわれることがあります。放っておけば、次の治療の予約まで装置の効果がない場合や予定の歯の動きと違う動きをしてしまったり、期間のロスにつながりかねません。なるべく早く修理をしてもらう方がよいと思います。こういった急に起こる問題に対して、どういった対処をしてもらえるか確認することをお勧めします。
c. お話し合いや説明が十分でないため、コミュニケーション不足から患者さんの生活に合わない治療計画になったり、治療方針の理解や協力が得られず、予定通りに治療が進まない。
たとえばお口の中で使う輪ゴムやヘッドギアが必要な場合など、患者さん自身が使用する時間が短ければ効果も小さくなってしまいます。治療方針と現実の食い違いは、期間だけでなく結果にも影響してしまうのです。
歯矯正治療後の歯並びや咬み合せの安定は個人差が大きく、安定の悪い人への対応が必要。
矯正治療では歯を動かす治療の後、必ず歯を固定し安定をさせるために保定期間を持ちます.。どういった方法でいつまで行うか、もし、安定の悪い人にはどういう対処をしているかを確認した方がよいでしょう。
逆に我々矯正医の立場からすると治療に入る前に、この3点については十分に説明し、ご理解ご協力を確認できないと治療開始を躊躇するほど重要と考えています。
その他に、診療体制の違いによっても特徴があります。
専門医院や付属病院等の矯正科や一般歯科内での矯正診療(院長又は常勤が行う場合、月何回など非常勤の矯正医が来ている場合等)いろいろな行われかたをしています。
このような診療体制からそれぞれ長所短所がありますが、最小限でも上記の3つの問題への対応は確認して下さい。この3つの対応が納得されたら、その他のプラスαで選ばれるとよいでしょう。